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通信制高校から大学受験をする場合の志望校の決め方

通信制高校から大学受験を目指すとき、最初に悩みやすいのが「どの大学を志望校にするか」です。

  • 大学名だけで決めてよいのか。
  • 今の学力から考えるべきなのか。
  • 一般入試を目指すのか、総合型選抜も考えるのか。
  • 国公立大学と私立大学のどちらがよいのか。

通信制高校の生徒は、全日制高校に比べて自由に使える時間が多い一方で、学習計画や進路選択を自分で考える場面も多くなります。だからこそ、志望校の決め方を間違えると、勉強の方向性が曖昧になり、時間だけが過ぎてしまうことがあります。
大切なのは、今の学力だけで志望校を決めることではありません。
「どこを目指すのか」「どの入試方式で受けるのか」「何をどの順番で勉強するのか」まで考えたうえで、志望校を決めることです。
この記事では、通信制高校から大学受験を目指す生徒に向けて、志望校の決め方をわかりやすく解説します。

1. まずは「行けそうな大学」ではなく「行きたい大学」を考える

志望校を決めるとき、最初から「今の成績で行けそうな大学」だけを見てしまう生徒は少なくありません。
もちろん、現在の学力を無視して志望校を決めることはできません。
しかし、最初から可能性を狭めすぎると、勉強への意欲が生まれにくくなります。
特に、通信制高校から大学受験を目指す生徒の中には、不登校期間があったり、勉強から離れていた時期があったりする場合もあります。そのため、「自分には難関大学は無理だ」「今の学力では選べる大学が少ない」と考えてしまうことがあります。
ですが、志望校を考える最初の段階では、まず「本当はどんな大学に行きたいのか」を出してみることが大切です。

たとえば、

  • 都市部の大学に行きたい
  • 教育学部に進みたい
  • 心理学を学びたい
  • 英語を活かせる学部に行きたい
  • 将来の仕事につながる学部を選びたい
  • 有名大学に挑戦したい
  • 地元から通える大学に進学したい

このように、最初は学力だけではなく、本人の希望や関心を出していくことが重要です。
志望校は、勉強を続ける理由になります。
だからこそ、まずは「行けそうかどうか」ではなく、「行きたいと思えるかどうか」から考えてみましょう。

2. 学びたい分野・将来の方向性から大学を考える

志望校を決めるうえで大切なのが、「大学名」だけでなく「何を学ぶか」を考えることです。
大学は、入学することがゴールではありません。
入学後にどの学部で何を学び、どのような将来につなげていくかも大切です。
たとえば、同じ大学でも、学部によって学ぶ内容は大きく変わります。
文学部、教育学部、法学部、経済学部、社会学部、心理学部、理工学部など、それぞれで必要な学力や入試科目も違います。
志望校を考えるときは、次のような質問をしてみると整理しやすくなります。

  • 興味のある学問分野は何か
  • 将来やってみたい仕事はあるか
  • 人と関わる仕事に興味があるか
  • 資格につながる学部を考えたいか
  • 文章を読む・書くことが好きか
  • 数学や理科を使う分野に進みたいか
  • 社会問題や地域、教育、福祉、心理に関心があるか

まだ将来の夢がはっきりしていなくても問題ありません。
その場合は、「少し興味があること」「苦手ではないこと」「大学で学んでみたいこと」から考えていけば大丈夫です。
通信制高校から大学受験を目指す場合、志望校選びは「名前」だけではなく、本人が前向きに学び続けられる分野を見つけることが大切です。

3. 入試方式を確認する

志望校を決めるときには、大学名や学部だけでなく、入試方式も必ず確認する必要があります。
大学受験には、主に次のような方式があります。

  • 一般選抜
  • 総合型選抜
  • 学校推薦型選抜
  • 共通テスト利用入試
  • 国公立大学の前期・後期入試

どの方式で受けるかによって、必要な準備は大きく変わります。
一般選抜であれば、英語・国語・数学・社会・理科などの学力試験が中心になります。
総合型選抜であれば、志望理由書、小論文、面接、活動実績、プレゼンテーションなどが必要になる場合があります。
学校推薦型選抜では、評定や学校での取り組みが関係することもあります。
通信制高校の生徒の場合、時間の使い方を工夫しやすいというメリットがあります。
そのため、一般入試に向けて集中的に勉強する戦略もありますし、総合型選抜に向けて志望理由書や面接対策を進める戦略もあります。
ただし、どの入試方式が合うかは、生徒によって異なります。

たとえば、

  • 学力試験で勝負したい生徒
  • 文章を書くことが得意な生徒
  • 自分の経験や思いを言葉にできる生徒
  • 将来の目標が明確な生徒
  • コツコツ勉強を積み上げたい生徒
  • 短期間で受験科目を絞って対策したい生徒

それぞれに合う受験方式は違います。
志望校を決めるときは、「この大学に行きたい」だけで終わらせず、「どの方式なら合格可能性を高められ
るか」まで考えることが重要です。

4. 必要科目と配点を確認する

志望校選びで非常に重要なのが、必要科目と配点の確認です。
同じ大学でも、学部や入試方式によって必要な科目は異なります。
また、英語の配点が高い大学もあれば、国語や社会の比重が大きい大学もあります。
通信制高校から大学受験を目指す場合、限られた時間をどの科目に使うかが合否に大きく関わります。
そのため、志望校を決める段階で、次の点を確認しておく必要があります。

  • 受験に必要な科目は何か
  • 英語の配点は高いか
  • 国語は現代文のみか、古文・漢文も必要か
  • 社会は日本史・世界史・政治経済などから選べるか
  • 数学が必要か
  • 共通テストが必要か
  • 小論文や面接があるか

特に、勉強から離れていた期間がある生徒の場合、科目数が多すぎると負担が大きくなりすぎることがあります。
そのため、志望校を考えるときには、「行きたい大学かどうか」と同時に、「必要科目を現実的に積み上げられるか」も確認することが大切です。
たとえば、私立文系の一般入試であれば、英語・国語・社会の3 科目に絞って学習できる場合があります。
一方で、国公立大学を目指す場合は、共通テストを含めて多くの科目に対応する必要があります。
どちらが良い悪いではありません。
大切なのは、本人の現在地、残された期間、学習習慣、得意不得意に合った受験戦略を立てることです。

5. 現在の学力と残された時間を確認する

志望校を決めるときには、希望だけでなく、現在の学力と残された時間も確認する必要があります。
ただし、これは「今の偏差値で行ける大学だけを選ぶ」という意味ではありません。
大切なのは、現在地と志望校までの距離を正しく知ることです。

たとえば、英語であれば、

  • 中学英語から確認が必要なのか
  • 高校基礎までは理解できているのか
  • 英単語はどれくらい覚えているのか
  • 文法問題は解けるのか
  • 英文解釈ができるのか
  • 長文読解に対応できるのか

このように細かく確認する必要があります。
国語であれば、現代文の読み方、古文単語、古典文法、読解演習の状況を確認します。
社会であれば、通史の理解、一問一答の定着、論述や資料問題への対応などを見ます。
数学であれば、基礎公式、例題の再現、標準問題への対応状況を確認します。

志望校までの距離がわかれば、必要な学習量も見えてきます。
「今の学力で届くか」ではなく、
「いつまでに、何を、どの順番で積み上げれば届くのか」
を考えることが重要です。

6. 第一志望だけでなく、併願校も考える

大学受験では、第一志望だけでなく、併願校の設計も大切です。
特に通信制高校から大学受験を目指す場合、受験校の組み方によって、安心感も学習計画も変わります。
志望校は、次のように分けて考えると整理しやすくなります。

  • 挑戦校
  • 実力相応校
  • 安全校

挑戦校とは、今の学力から見ると簡単ではないけれど、努力によって合格を目指したい大学です。
実力相応校とは、現在の学力や今後の伸びを考えたときに、十分に合格を狙える大学です。
安全校とは、受験全体の安心材料として考える大学です。
この3 つをバランスよく組むことで、大学受験全体の戦略が安定します。
第一志望だけを見ていると、模試の結果や過去問の出来によって不安が大きくなりやすいことがあります。
一方で、併願校までしっかり考えておくと、「ここも受けられる」「このルートもある」と冷静に受験を進めやすくなります。
大学受験は、気持ちの安定も非常に重要です。
その意味でも、併願校の設計は早めに考えておくことが大切です。

7. 通学距離・学費・生活環境も確認する

志望校を決めるときは、偏差値や大学名だけでなく、通学距離、学費、生活環境も確認しておく必要があります。
大学に合格した後、実際に通い続けることができるかどうかも大切だからです。

たとえば、

  • 自宅から通える距離か
  • 一人暮らしが必要か
  • 学費はどれくらいか
  • 奨学金を利用する可能性があるか
  • 通学時間に無理はないか
  • 大学の雰囲気が本人に合っているか
  • 大人数のキャンパスが合うか、小規模な環境が合うか

こうした条件も、志望校選びでは重要です。
通信制高校を選んだ生徒の中には、人間関係や環境の負担を大きく感じてきた生徒もいます。
そのため、大学選びでも「自分が安心して通える環境かどうか」を確認することは、とても大切です。
合格できる大学を探すだけでなく、入学後に前向きに学び続けられる大学を選ぶことが、志望校選びでは欠かせません。

8. オープンキャンパスや大学の情報を確認する

志望校を決めるうえでは、実際の大学情報に触れることも重要です。
大学のホームページを見るだけでなく、オープンキャンパス、大学説明会、パンフレット、在学生の声、授業内容、就職実績、資格取得支援などを確認していくと、大学のイメージがより具体的になります。
特に、通信制高校の生徒の場合、大学生活のイメージが湧きにくいこともあります。
その場合は、実際にキャンパスを見たり、大学の雰囲気を知ったりすることで、「ここで学びたい」という気持ちが強くなることがあります。
志望校を決めるときには、次のような点を確認してみるとよいでしょう。

  • 学部・学科で学べる内容
  • 授業の特徴
  • ゼミや研究内容
  • 資格取得支援
  • 就職支援
  • キャンパスの雰囲気
  • 学生の雰囲気
  • 通学のしやすさ
  • 入試方式
  • 入試科目と配点

志望校が具体的になると、勉強の目的もはっきりします。
「なぜこの大学に行きたいのか」が見えてくると、受験勉強にも向かいやすくなります。

9. 志望校は途中で変わってもよい

志望校を決めるときに、「一度決めたら変えてはいけない」と考える必要はありません。
もちろん、目標を持つことは大切です。
しかし、勉強を進める中で学力が伸びたり、興味のある分野が変わったり、受験方式の向き不向きが見えてきたりすることもあります。
最初に決めた志望校は、あくまで学習を始めるための目標です。
勉強を進めながら、必要に応じて見直していけば大丈夫です。

たとえば、

  • 英語が伸びてきたから、もう一段上の大学を目指す
  • 学びたい分野が変わったから、学部を見直す
  • 総合型選抜より一般入試の方が合いそうだとわかった
  • 科目数を考えて私立文系に絞る
  • 地元の大学から、都市部の大学も視野に入れる

このように、志望校は学習状況に応じて調整していくものです。
大切なのは、何も決めないまま時間を過ごすことではありません。
まずは仮でもよいので志望校を決め、そこから逆算して動き出すことです。

10. 志望校が決まると、勉強の優先順位が決まる

志望校を決める最大の意味は、勉強の優先順位がはっきりすることです。
志望校が決まれば、必要な科目が決まります。
必要な科目が決まれば、使う教材が決まります。
教材が決まれば、いつまでに何を終わらせるべきかが見えてきます。
逆に、志望校が決まらないままだと、何を勉強すればよいのかが曖昧になります。

  • 英語をやるべきなのか。
  • 数学が必要なのか。
  • 古文まで必要なのか。
  • 社会は日本史がよいのか、世界史がよいのか。
  • 小論文対策が必要なのか。

こうした判断ができないまま勉強を進めると、努力が分散してしまいます。
通信制高校から大学受験を目指す場合、自由に使える時間をどのように使うかが非常に重要です。
だからこそ、志望校を決めることは、学習計画を作るうえで最初の大きな一歩になります。
まとめ|通信制高校から大学受験を目指すなら、志望校は「逆算」で決める
通信制高校から大学受験をする場合、志望校選びで大切なのは、今の学力だけで可能性を決めつけないことです。
まずは、行きたい大学や学びたい分野を考える。
そのうえで、入試方式、必要科目、配点、現在の学力、残された時間を確認する。
そして、合格までの道筋を逆算して学習計画を立てる。
この流れが重要です。

志望校を決めるときに大切なのは、次のポイントです。

  • まずは「行けそうな大学」ではなく「行きたい大学」を考える
  • 学びたい分野や将来の方向性から大学を考える
  • 一般入試・総合型選抜・推薦などの入試方式を確認する
  • 必要科目と配点を確認する
  • 現在の学力と志望校までの距離を把握する
  • 第一志望だけでなく併願校も考える
  • 通学距離・学費・生活環境も確認する
  • オープンキャンパスや大学情報を見る
  • 志望校は途中で見直してもよい
  • 志望校から逆算して勉強の優先順位を決める

志望校は、ただの大学名ではありません。
これからの勉強を進めるための地図になります。
通信制高校の自由な時間を、大学受験に向けた前向きな時間に変えるためにも、まずは自分に合った志望校を考えるところから始めてみましょう。