「ついていけない」は、能力がないという意味ではありません
こんにちは。
通信制高校からの大学受験戦略、七色高等学院の高木です。
今日は、進学校に通っているけれど、学校生活が苦しくなっている高校生、そしてその親御さんに向けてお話しします。
- 進学校に入った。
- 中学の頃は成績も悪くなかった。
- 高校受験を頑張って、周りからも「すごいね」と言われた。
- でも、入学してみたら思っていた以上に大変だった。
- 授業のスピードが速い。
- 課題が多い。
- 小テストに追われる。
- 部活も忙しい。
- 周りの生徒は当たり前のように勉強している。
- 少し休んだだけで、一気に置いていかれる。
- 気づけば、学校に行くこと自体がしんどくなっている。
こういう相談は、決して珍しくありません。
そして、そういう状況になった時、親御さんも本人もこう思ってしまいます。
- 「せっかく進学校に入ったのに」
- 「ここで転校したら、もう大学受験は無理なのではないか」
- 「通信制高校に行ったら、人生のレールから外れてしまうのではないか」
でも、私はそうは思いません。
進学校で苦しくなった子が、通信制高校に転校することは、逃げではありません。
むしろ、もう一度自分の学びを立て直すための、非常に現実的な選択肢になることがあります。
この記事では、なぜ進学校で苦しくなった子が通信制高校に転校してもいいのか。
そして、通信制高校から大学受験を目指すために何が必要なのかを、できるだけ具体的にお伝えします。
進学校で苦しくなる子は、決して珍しくない

まず、最初にお伝えしたいのは、進学校で苦しくなることは特別なことではないということです。
進学校に入る生徒は、中学時代にある程度勉強ができた子が多いです。
定期テストでも上位だった。
高校受験でも努力できた。
だからこそ、進学校に合格しています。
しかし、高校に入ると状況は大きく変わります。
中学までは、学校の授業を聞いて、宿題をやって、定期テスト前にしっかり勉強すれば何とかなった。
でも高校では、それだけでは追いつかないことがあります。
特に進学校では、授業の進度が速く、課題も多く、予習・復習を前提に授業が進んでいきます。
- 英語なら、単語・文法・解釈・長文がどんどん進む。
- 数学なら、理解が不十分なまま次の単元に進む。
- 古文・漢文・理科・社会も、気づけばやることが積み重なっていく。
- 一度つまずくと、次の内容がわからない。
- 次の内容がわからないから、授業がさらに苦しくなる。
- 授業が苦しくなるから、学校に行くのが重くなる。
この流れに入ってしまう子は少なくありません。
つまり、進学校で苦しくなったからといって、その子に能力がないわけではありません。
ただ、今の環境のスピードや負荷が、その子の状態に合っていない可能性があるのです。
「ついていけない」は、努力不足だけでは片づけられない
進学校で苦しくなっている子に対して、周囲はついこう言ってしまいがちです。
- 「もう少し頑張れば」
- 「みんな大変なんだから」
- 「せっかく入った学校なんだから」
- 「ここで逃げたらもったいない」
もちろん、励ましたい気持ちはよくわかります。
親御さんとしても、子どもの将来を思えばこそ、簡単に転校を選んでいいのか不安になると思います。
でも、本人の中では、すでに限界に近いところまで来ていることがあります。
- 朝起きられない。
- 学校のことを考えると体調が悪くなる。
- 課題を開こうとしても手が動かない。
- クラスに入ることを想像するだけで苦しくなる。
- 自分だけができないように感じて、どんどん自信を失っていく。
こうなっている時に、ただ「頑張れ」と言っても、状況が良くなるとは限りません。
むしろ、本人はこう感じてしまいます。
- 「自分は頑張れない人間なんだ」
- 「みんなできているのに、自分だけできない」
- 「親にも迷惑をかけている」
- 「もうどうしたらいいかわからない」
進学校についていけないという問題は、単なる努力不足ではありません。
学習量、生活リズム、人間関係、自己肯定感、メンタル、授業スピード。
いろいろな要素が重なって起きる問題です。
だからこそ、必要なのは根性論ではなく、環境の見直しです。
通信制高校への転校は「負け」ではなく「立て直し」
通信制高校という言葉を聞くと、まだまだ不安を感じる親御さんも多いと思います。
- 「通信制高校に行ったら、勉強しなくなるのではないか」
- 「大学受験に不利になるのではないか」
- 「友人関係が減ってしまうのではないか」
- 「社会性が育ちにくいのではないか」
こうした心配は、決して間違っていません。
通信制高校には自由がある分、学習管理が難しいという面もあります。
ただし、その自由をうまく使えれば、進学校で苦しくなった子にとって、大きなチャンスになります。
なぜなら、通信制高校では、学校生活の負荷を下げながら、大学受験に必要な学習を自分のペースで組み直すことができるからです。
毎日、苦しい気持ちで教室に行く。
授業についていけないまま時間だけが過ぎる。
課題に追われて、自分に必要な勉強ができない。
周りと比べて、さらに自信をなくしていく。
この状態を続けるよりも、いったん環境を変えて、生活と学習を立て直す。
その方が、大学受験に向けて前に進める場合があります。
大切なのは、通信制高校に転校することそのものではありません。
転校したあとに、どう学ぶか。
どう生活を整えるか。
どう大学受験に向けた道筋を作るか。
ここが一番大切です。
進学校を辞めても、大学受験は終わらない

多くの親御さんが心配されるのは、ここだと思います。
「進学校を辞めたら、大学受験は厳しくなるのではないか」
たしかに、進学校には大学受験に向けた環境があります。
授業のレベルも高く、周りにも勉強する生徒が多い。
受験情報も入りやすい。
学校全体が大学進学に向かっている。
これは大きなメリットです。
しかし、今その環境が本人にとって苦しすぎる場合、必ずしもプラスに働いているとは限りません。
どれだけ良い環境でも、本人が学校に行けない。
授業を聞いても頭に入らない。
課題に追われて自信を失う。
勉強そのものが嫌になってしまう。
そうなってしまうと、進学校に在籍しているメリットを活かしきれません。
大学受験で大切なのは、どこの高校に在籍しているかだけではありません。
最終的に、入試本番で点数を取れる力があるかどうかです。
英単語を覚えているか。
英文を正確に読めるか。
数学の基本問題を自力で解けるか。
古文単語や文法を使えるか。
世界史や日本史を流れと知識で説明できるか。
過去問に向けて、必要な力を積み上げられているか。
これらは、進学校にいないと身につかない力ではありません。
正しい学習計画があり、毎日の勉強が管理され、わからないところを確認できる環境があれば、通信制高校からでも大学受験を目指すことはできます。
もちろん、簡単ではありません。
しかし、進学校に残ることだけが大学受験の道ではありません。
通信制高校の強みは「時間」を取り戻せること
進学校で苦しくなっている子にとって、通信制高校の大きなメリットは、時間の使い方を変えられることで
す。
進学校では、毎日の授業、課題、小テスト、部活、学校行事などに多くの時間を使います。
それが良い方向に働く子もいます。
しかし、すでに学習の土台が崩れている子にとっては、目の前の課題をこなすだけで精一杯になってしま
うことがあります。
本当は中学英語からやり直した方がいい。
本当は英文法の基礎を固めた方がいい。
本当は数学の前の単元に戻った方がいい。
本当は古文の助動詞を一つずつ覚え直した方がいい。
でも、学校の授業は待ってくれません。
通信制高校に転校すると、この「戻って学ぶ時間」を作りやすくなります。
中学内容からやり直す。
英単語を毎日覚える。
スタディサプリなどの映像授業で基礎を入れる。
問題集を一冊ずつ仕上げる。
確認テストで本当に覚えているかを確かめる。
わからないところを個別指導で修正する。
こうした学習の立て直しがしやすくなります。
通信制高校の自由時間は、ただの空き時間ではありません。
使い方によっては、大学受験に向けた大きな武器になります。
ただし、通信制高校に転校すれば自然にうまくいくわけではない
ここは、正直にお伝えしなければなりません。
通信制高校に転校しただけで、自然に勉強ができるようになるわけではありません。
むしろ、何も仕組みがなければ、状況が悪くなることもあります。
自由な時間が増える。
朝起きなくても何とかなってしまう。
課題の締切だけを最低限こなす。
スマホやゲームの時間が増える。
人と関わる機会が減る。
勉強のペースがわからなくなる。
こうなると、せっかく転校しても、大学受験からは遠ざかってしまいます。
だからこそ、通信制高校を選ぶ場合は、次の3 つがとても重要です。
通信制高校から大学受験を目指すために必要な3 つのこと

1. 毎日の学習計画があること
通信制高校では、学校の時間割に縛られにくい分、自分で学習計画を立てる必要があります。
しかし、大学受験の学習計画を高校生が一人で立てるのは簡単ではありません。
どの科目を優先するのか。
どの教材を使うのか。
いつまでにどこまで終わらせるのか。
基礎から始めるのか、入試問題に入るのか。
志望校に対して、今の学力との差はどれくらいあるのか。
これを本人任せにしてしまうと、かなり難しいです。
特に進学校で苦しくなった子は、自信を失っていることが多いです。
何から手をつければいいかわからない。
やってもできない気がする。
計画を立てても続かない。
だからこそ、大人が一緒に学習計画を作ることが必要です。
2. 勉強した内容を確認する仕組みがあること
勉強で一番怖いのは、「やったつもり」になることです。
映像授業を見た。
参考書を読んだ。
ノートにまとめた。
問題集を解いた。
赤で直した。
でも、それだけでは本当にできるようになったとは言えません。
大切なのは、何も見ずに説明できるか。
もう一度解いた時に、自力で解けるか。
なぜその答えになるのかを言えるか。
間違えた理由を自分で分析できるか。
この確認がないと、勉強は積み上がりません。
通信制高校から大学受験を目指すなら、確認テストや口頭チェック、個別指導などを通して、学習内容が
本当に身についているかを確認する仕組みが必要です。
3. 孤独にしないこと
通信制高校の大きな課題の一つが、孤独になりやすいことです。
進学校で苦しくなった子は、人間関係に疲れていることもあります。
だから、一時的に人との距離を取ることは必要かもしれません。
でも、ずっと一人で大学受験に向かうのは簡単ではありません。
勉強が進まない日もあります。
不安になる日もあります。
志望校を下げたくなる日もあります。
自分には無理だと思う日もあります。
そういう時に、見てくれる人がいるかどうか。
声をかけてくれる人がいるかどうか。
学習の状況を一緒に確認してくれる人がいるかどうか。
これはとても大きいです。
通信制高校で大学受験を目指すなら、自由だけでは足りません。
自由を支える仕組みと、人の関わりが必要です。
進学校で苦しんだ経験は、無駄ではない
進学校で苦しくなった子は、自分を責めてしまうことがあります。
「自分はダメだった」
「せっかく合格したのに続けられなかった」
「親に申し訳ない」
「周りに負けた気がする」
でも、私はそうは思いません。
進学校に入るために努力したこと。
レベルの高い環境に挑戦したこと。
一度は必死についていこうとしたこと。
苦しい中でも、何とかしようとしたこと。
それらは全部、その子の中に残っています。
たとえ途中で環境を変えることになったとしても、その経験は無駄ではありません。
むしろ、次の学びに活かせます。
「あのスピードでは自分は崩れてしまう」
「自分には基礎から積み上げる時間が必要だ」
「わかったつもりの勉強では伸びない」
「人と比べると苦しくなる」
「自分には伴走してくれる環境が必要だ」
こうした気づきは、大学受験に向けて非常に大切です。
進学校でうまくいかなかったことは、終わりではありません。
自分に合った学び方を見つけるための、大事な経験にもなります。
転校を考えるタイミングは「完全に壊れてから」では遅い
親御さんにお伝えしたいことがあります。
転校を考えるタイミングは、完全に動けなくなってからでなくてもいいということです。
もちろん、すぐに転校をすすめたいわけではありません。
今の高校で続けられる可能性があるなら、それを探ることも大切です。
担任の先生に相談する。
課題量を調整できないか確認する。
保健室登校や別室対応を相談する。
一時的に休んで回復を待つ。
塾や家庭教師で学習を補う。
できることはあります。
ただ、それでも本人の状態がどんどん悪くなっているなら、環境を変えることも考えていいと思います。
朝起きられない日が続く。
学校の話をすると表情が暗くなる。
勉強道具を見るだけで固まる。
自己否定の言葉が増える。
食欲や睡眠に影響が出ている。
家庭内でも会話が減っている。
こうした状態が続いている時に、「もう少しだけ頑張ろう」と言い続けることが、必ずしも正解とは限りませ
ん。
高校生活は大切です。
でも、それ以上に大切なのは、その子自身が壊れないことです。
通信制高校を選ぶなら「大学受験までの道筋」があるかを見る
通信制高校を検討する時は、学校名や通いやすさだけでなく、大学受験までの道筋があるかを見てほし
いと思います。
特に、大学進学を考えている場合は、次の点を確認することが大切です。
学習計画を一緒に作ってくれるか。
日々の勉強を管理してくれるか。
基礎からやり直せる仕組みがあるか。
質問できる環境があるか。
確認テストなどで定着を見てくれるか。
大学受験に詳しい先生がいるか。
本人のメンタル面も見ながら進めてくれるか。
通信制高校は、自由度が高い分、学校やサポート校によって環境が大きく違います。
「卒業できるか」だけではなく、
「卒業後にどうなりたいのか」
「大学受験までどう進むのか」
「本人が再び学びに向かえる環境か」
ここまで考えて選ぶことが大切です。
進学校から通信制高校へ。大切なのは、過去ではなく次の一歩
進学校で苦しくなった。
学校に行けなくなった。
課題についていけなくなった。
友人関係がしんどくなった。
勉強に自信がなくなった。
こうした経験があると、どうしても「失敗した」と感じてしまいます。
でも、本当に大切なのは、過去の高校生活を責めることではありません。
次にどう立て直すかです。
今の環境で回復できるなら、それでいい。
少し休んで戻れるなら、それもいい。
でも、今の環境ではどうしても苦しいなら、通信制高校に転校して、もう一度学び直す道もあります。
進学校に入ったことも、苦しくなったことも、転校を考えることも、全部その子の人生の一部です。
大切なのは、その経験を終わりにしないことです。
環境を変えて、生活を整えて、基礎から学び直して、大学受験に向けてもう一度進んでいく。
そういう道は、確かにあります。
まとめ|進学校で苦しくなった子が、通信制高校に転校してもいい理由
進学校で苦しくなったからといって、その子に能力がないわけではありません。
授業のスピード、課題量、人間関係、生活リズム、メンタルの状態。
さまざまな要素が重なって、今の環境が合わなくなっているだけかもしれません。
通信制高校への転校は、逃げではありません。
自分に合った環境で、もう一度学びを立て直すための選択肢です。
ただし、通信制高校に転校すれば自然にうまくいくわけではありません。
必要なのは、自由な時間を大学受験につなげる仕組みです。
- 学習計画。
- 確認テスト。
- 個別指導。
- 生活リズム。
- メンタル面のサポート。
- そして、本人を孤独にしない環境。
これらがあれば、進学校で一度苦しくなった子でも、通信制高校から大学受験を目指すことはできます。
今の学校に通い続けることだけが正解ではありません。
環境を変えることで、もう一度前を向ける子もいます。
もし今、進学校で苦しくなっているなら、まずは自分を責めないでください。
そして親御さんも、「続けるか、辞めるか」だけで考えずに、
「この子がもう一度学びに向かえる環境はどこか」
という視点で考えてみてほしいと思います。
進学校で苦しくなった経験は、終わりではありません。
そこから、もう一度始めることはできます。